2014年6月菅田巌 会長

4月29日付で発令された春の叙勲にて,前安芸地区医師会長の福永泰州先生が旭日双光
章を,また元瀬野川病院長の津久江一郎先生が瑞宝小綬章を受章されました。誠におめで
とうございます。これからもお体に気を付けられて地域医療に取り組んでいただき,安芸
地区医師会の我々にご指導ご鞭接を宜しくお願い致します。
【革新・コンカレントエンジニアリング】
4月25日,地域経済を担うマツダの2014年3月期の決算は,売上高が前期比22%増の2兆
6,922億円,営業利益が3.4倍の1,821億円,当期純利益が3.2倍の1,100億円に達したと発表し
た。営業利益,当期純利益も過去最高を更新した。営業利益率は2.4%から6.8%に大幅に
改善し,売上高ではマツダの4倍以上であるホンダを上回り,見事に復活した。回復した
背景には円安効果による要因も大きいが,「モノ造り革新」という,単なる製造現場の
「カイゼン」を超えた究極の「コンカレントエンジニアリング」(設計から製造に至る全業
務を同時並行的に処理することで,量産までの開発プロセスを短期化する手法)への取り
組みが革新的なスカイアクティブ技術を乗せた車を生み,円高でも輸出で利益が出る車が
円安を追い風に高利益を生み出している。さらに円安に安住せず,海外事業を強化し,メ
キシコに拠点を設け,企業が本当に生き残りを考えるのであればアベノミクスに過度の期
待を持たないで,近未来を見据えながら自助努力するしかない。マツダが取り組む構造改
革は,地味ながらも「イノベーション」である。そしてマツダと対照的なソニーについて
は「為替の変動で業績に追い風が吹くはずなのに,当期損失を出しているのは,テレビな
ど主力のエレクトロニクス事業で同じようなリストラを逐次的に繰り返しているため,円
安差益がリストラ費用に相殺されてしまい,実現利益にならないから」とジャーナリスト
の井上久男氏は「サイゾー」に記載している。マツダの復活は地域経済にとって頼もしい
限りであり,地場の中小企業に波及することを願う。
【脳震造・加速損傷】
平成24年8月の会長談話で武道の必修科目に伴い,学校での柔道等の「加速損傷」(頭部
の高速回転によって固い頭蓋骨と内側の柔らかい脳のずれが生じ,その間を結ぶ橋静脈の
破損により硬膜下血腫などが引き起こされる現象)に注意を払い,後方支援病院との協力
関係の確立や,安全講習会の開催が必要であると川又達朗日本大学脳神経外科教授のアメ
リカンフットボール連盟安全対策委員の講演内容および柔道大国フランスでの指導者資格
認定制度と認定試験ブルベデダと呼ばれる国家試験,デュプロム(資格認定証明書)の取
得による指導者の資格制度等,教育現場での安全管理体制の充実の必要性について述べた。
今回,4月30日,強制起訴の元柔道指導員に禁固1年執行猶予3年の有罪判決が長野地裁
で言い渡された。小学6年生の少年に柔道の練習中,「片襟体落とし」という投げ技をか
け,頭は打たなかったものの,強く揺さぶられた影響で急性硬膜下血腫となり,一時意識
不明となり,四肢麻痺の重い後遺症を負わせた事例である。過失を認定するには証拠不十
分として,2度長野地裁で,被告は不起訴となったが,長野検察審査会は「危険な技をか
け,事故を招いた」として起訴すべきと議決し,強制起訴して今回の判決となった。各
紙,新聞報道によると公判では主に頭は打たなくても,脳が揺さぶられて静脈が破れる
「加速損傷」を予見できたか,ケガをしないよう,体格や技量に応じて手加減をしていた
か等が争点となり,「教え子は受け身が不十分だったのに,力加減することなく投げた」
「指導にあたって細心の注意を払う責任を負っていたにもかかわらず,投げ方を誤ってけ
がをさせた過失は重大だ」と認定・指摘している。加速損傷による脳震造,急性硬膜下血
腫,そしてセカンド・インパクト等注意が必要であり,頭痛や気分不良,脳震迫などを軽
視せず,精査が必要である。
最近広島地方裁判所民事調停委員の推薦の依頼を受けた。これは広島県臨床整形外科医
会会長の仕事であるが,平成26年10月1日現在の年齢が40歳以上63歳以下という年齢制限
があり,だれか推薦を受けてくれる人はいないか思案している。
(平成26年5月8日)

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