2013年2月菅田巌 会長

新年明けましておめでとうございます。
会員各位には清々しい新年をお迎えになられたこととお慶び申し上げます。また日夜地域
医療に取り組み,地域住民の安心・安全に寄与されておられることに感謝申し上げます。
一昨年3月11日に発生した東日本大震災では,死者・行方不明者合わせて1万9,000人近
く,そして福島第一原発の放射能汚染の問題もあり,震災から1年9カ月の12月6日現在,
今なお全国に避難している人は約32万1,000人(復興庁)近くに上っている。
元旦の朝日新聞のオピニオン,中国新聞での作家高橋源一郎の対談で,民俗学者の赤坂
憲雄学習院大学教授は「16歳,17歳の君たちが原発事故の結果を一番背負わされる。大人
は子供たちを守っているつもりでも,一番の当事者であるはずの子供たちの声に耳を傾け
てこなかった」「17年以上先の,2030年代に原発をどうするかという議論が出たとき,17
年後,80歳前後の年老いた自分は果たして当事者なのか。10代後半の高校生たちは,その
とき30代其只中です。家庭を築き,母親になっているかもしれない。彼女たちこそがまさ
しく当事者なのです。その当事者が議論の輪に入っていない。これはおかしい。目先の利
益にとらわれている大人たちに未来を委ねてはいけません」「宮崎駿さんの『風の谷のナ
ウシカ』のように,あえて苦境の中に踏みとどまり,それを生きる条件として引き受けよ
うとする人々が現れている。だから福島はチュルノブイリにはならない。あれほどの悲惨
を無にしないためにも,日本の未来を拓く『はじまりの土地』にしなければ」と述べてい
る。一日も早い復旧復興を願っている。

今年の干支は「突巳(みずのとみ・きし)」。「発」は十干の十番目,象形では,三つの
股の刃物が四方にはり出した形の武器で,グルグル回して敵の武器を払いのける,この回
すという意味から転じて十干が一巡して元に戻ろうとする十干の最後の字にあてられ,ま
た「突」の字は「挟」(はかる)につながり,植物の内部にできた種子が大きさを測れる
まで大きくなった状態を表している。揆然として萌芽す。十二支の「巳」は胎児の姿を表
す象形文字,新たな生命が発生した事を表し,また蛇が冬眠から覚めて地表に這い出した
姿を表しており,脱皮を繰り返し再生の象徴でもある。平成「発巳」は「干支」六十年の
中間点で,新時代の胎動を感じる希望の年となることを期待する。
蛇といえば,日本医師会のバッジにも蛇が,そしてWHO,世界医師会のマーク,世界
中の救急,日本の救急車,ドクターヘリの「スター・オブ・ライフ」のマークの中心に,
ギリシャ神話の医神アスクレビオスの蛇の巻きついた杖が使われている。蛇は神の使いと
して,守護,神秘,健康,不老,長寿,不死を表し,患部をなめると病気が治ったとい
う。またアスクレビオスの娘で,聖蛇に餅を与えていたヒユギエイアは蛇の巻きついた杯
を持っている。この「ヒユギエイアの杯」は薬学のシンボルであり,英語hygiene(衛生)
の語源となっている。なお「ヘルメスの杖」には二匹の蛇が絡まり,杖の頭には一対の翼
がついている。これは商業・通信,交通のシンボルで,幸福,平和を象徴している。日医
のシンボルマークの蛇がⅤ字状になっているのは,医学に欠かせない乳鉢と乳棒を表して
おりアスクレビオスの蛇を組み合わせたものである。

さて安倍内閣は脱デフレと経済の再生・復興,危機管鵬を掲げ,約13兆円規模の補正
予算案編成に剛組んでおり,閉塞感のあった産業界にあって期待は大きく,今日の株
高,円安傾向は明るい兆しと云える。しかし一方,現在日本はGDPの2倍の公的債務鵬
を抱えており,財政規律の信頼が揺らいだ場合の長期金利,円の乱高下などのアベノミク
スの負の面をリスク要因として挙げる声もある。日本の現状を「幸せな不況」と表現さ
れ,今後の日本を「不幸せな不況」にしない為にも,財政改革を行い,年金・医療・介護
の社会保障制度を持酎能なものとし,国民皆保険を堅持していただきたい。

また今年4月第6次医療法が改正されるに伴い,人口の急激な高齢化や社会構造の多様化・
複雑化に伴う患者の疾病構造の変化に対応すべく①医療轍の分化・連携の推進②精神
疾患の医療体制(4疾病から5疾病に)③在宅医療体制の整備④地域医療支援センターの
取り組み⑤植時医療体制の見直しが図られた。4月からスターける新たな「地域医療
計画」の策定に向けて「保健医療計画」「健康ひろしま21」「がん対策推進計画」「食育推
進計画」「歯と口腔の健康づくり推進計画」の幅広く県民の声を聴くため,昨年12月から
今年1月にかけて・タウンミーティングが開催されている。地対協としてがん予防・がん
検診,がん医療,脚ケア等がん対策サポートドクターの取り組み・そして第二次健康日
本21の推進基本方針である生涯を通しての健康づくりの推進に取り組んで行く。
地域の医療・介護・福祉の連携を即して,急性期のみならず,予防・亜急性期,回復
期,慢性期,在宅医療まで,「切れ目のない医療,介護」の提供体脚構築に取り組み,
団塊の世代が後期高矧こなる2025年に向けて,退院支援システム,在宅医療の推進,地
域包括ケアシステムの推進に各地区で取り組んで行く。

4月には非営利の一般社団法人との認可が下りる予定である。また7月には安芸地区医師
会設立125年史が完成する。新たな安芸地区医師会となる。
地域に根差した医師会事業をより充実させ・「順天以医救世以仁」を心に刻み,「温か
く心のかよった地域医療を目指して」前進して行きますので,会員各位のご理解ご協力を
ぉ願い致します。今年一年,皆様にとって輝かしい年になることを祈念いたします。
(平成25年1月)

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