2012年1月菅田巌 会長

師走の8日となった。丁度70年前の今日,午前7時のラジオは「臨時ニュースを申し上げ
ます。臨時ニュースを申し上げます。大本営陸海軍部,十二月八日午前六時発表。帝国陸
海軍は今八日未明西太平洋においてアメリカ,イギリス軍と戦闘状態に入れり」と放送し
た。大平洋戦争の始まりである。その後の経過はご存知の如くであり,この戦争で日本の
軍人戦死者数230万人,一般人の死者は80万人と言われ,今日の繁栄も多くの犠牲者の上
に成り立っている。大本営発表といえば,大敗北したミッドウェー海戦の頃から戦果を燥
小化して発表し,国民を欺いた。今回の3月15日爆発を起こした福島第一原発のメルトダ
ウンに関して5月12日に発表したが,これなどは大本営発表であろう。
事故調査・検証委員会では,菅前首相等を招いて未曾有の福島第一原発の放射能漏れ事
故に対する検証が始まる予定である。26日には中間報告が発表される。

【受診時定額負担】
先の各医院による受診時定額負担に対する署名運動にご協力いただき感謝申し上げる。
66医療機関から6,434名の署名をいただいた。厚く御礼申し上げる。新聞報道では,民主
党厚生労働部門会議検討チームでは受診時定額負担は反対意見が多かったため,政府・民
主党は7日導入を断念したと報じられている。社会保障審議会医療保険部会において,受
診時定額負担については,患者だけに負担するのでなく,健康な人を含めて保険料や公費
で広く負担すべき,受診抑制により病状が悪化する恐れがある等の理由から,導入に反対
の意見があった。
一方で,医療費は保険料・公費・自己負担の組み合わせで確保する必要があるが,保険
財政の現状を考えると,高額医療費の改善を保険料に引き上げで賄うのは困難,財源を保
険料に求める場合,負担の大部分が若年者に転嫁される等の理由から,受診時定額負担も
一つの選択肢との意見もあったと議論され,両論併記となった。

【安芸医学会】
12月4日第28回安芸医学会が開催し,特別講演として,広島大学大学院医歯薬学総合研
究科創生医科専攻放射線ゲノム医科学講座 放射線腫瘍学教授の永田靖先生に「最先端放
射線治療の現状と展望」と題して,講演していただいた。高精度放射線治療技術によるピ
ンポイント照射,強度変調回転放射線治療,画像誘導放射線治療,粒子線治療等最先端の
放射線治療についての講演であったが,これからの時代2人に1人は癌に握り,3人に1人は
癌でなくなる時代である。広島からがん難民をなくせ,そして老人にやさしいがん治療を
強調された。2014年完成の県医師会と合築された高精度放射線治療センターに期待する。

【診療報酬・介護報酬同時改定】
診療報酬改定に関しては,日医は前回に続くプラス改定を求め,政府は財政難やデフレ
を理由に,プラスマイナス0%を軸にせめぎ合いとなっている。薬価を1.3%下げて,その
下げた財源5,400億円をどうするのか。本体部分を引き上げることによって全体の据え置
きを目指しているのが小宮山厚生労働大臣であるが,政府,民主党は本体部分と薬価部門
を合わせた全体について引き下げを検討している。引き下げた一部を国は復興財源に持っ
て行きたいと考えている。
一方介護保険については,医療と介護の連携が挙げられ,地域包括ケアがキーワードで
ある。新たなサービスとして24時間対応の定期巡回・随時対応サービスや訪問看護と他の
サービスを組み合わせた複合型サービスの創設がある。安芸地区医師会では,急性期~回
復期~在宅医療のシームレスな医療を提供するため,退院後の医療及び福祉サービスとの
連携が重要と考え,この度「退院支援システム委員会」を立ち上げ,地域包括ケアシステ
ムとして,かかりつけ医,在宅療養支援診療所とともに連携病院,訪問看護ステーショ
ン,居宅介護支援事業所,訪問介護事業所その他施設サービスと連携して在宅医療・在宅
ホスピスケアの推進に努めている。
(平成23年12月)

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