2011年8月菅田巌 会長

倉橋の岡本卓三先生が7月3日,浜田将先生が7月12日にお亡くなりになった。謹んでご
冥福をお祈りする。
例年より2週間近くも梅雨が早く明け,連日猛暑日が続いている。身体に気をつけてい
ただきたい。
先月に開催した臨時総会では平成22年度医師会会計決算及び特定検診・特定保健指導会
計決算,総合介護センター会計決算報告,医師会館建替えについて承認・決議していただ
き感謝している。新医師会館は来年2月末には完成予定である。
さてサッカーの女子ワールドカップ(W杯)ドイツ大会では,なでしこジャパンが3-1
でスウェーデンを破り,決勝進出が決まった。アメリカとの17日の決勝戦では是非勝って
金メダルを持ち帰っていただきたい。

【東日本大震災】
今年3月11日,1000年に一度の未曾有の東日本大震災が発生し,4ケ月を過ぎたが,東日
本大震災の被災者数は,7月13日現在,死者は15,560人にのぼり,今なお,行方不明者は
5,329人となっており,ニュースで家族を探し続けておられる姿を見ると胸が締め付けら
れる。
現在福島原発の1,2,3,4号機のメルトダウン,メルトスルーによる放射性物質の漏
洩,放射能汚染は深刻な情況を呈しており,喫緊の課題である福島第一原発の放射能汚染
を如何にくい止めるか,そして今回の事故で「原発安全神話」は崩れ,エネルギー政策を
どうするのかも問われている。
現在,福島第一原発事故による学童生徒への放射能被曝の影響が心配される。校庭で運
動ができない,窓が開けられない状態はいつまで続くのか,状況は深刻である。府中町出
身である小佐古敏荘東大大学院教授の内閣官房参与辞任等で年間20ミリシーベルトという
学校の校庭利用基準が議論になっていた。

【100ミリシーベルト以下の世界,それはミステリーだ】
現在一般国民を直接の対象として放射線被曝限度を定めた法令はなく,放射線業務に従
事する労働者を対象とする労働安全衛生法と電離放射線障害防止規則の基準がある。学校
保健安全法6条は,「学校の設置者は学校環境衛生基準に照らして,その設置する学校の適
切な環境の維持に努めなければならない」とあり,この学校環境衛生基準は文部科学大臣
が決めるものとされている。しかし現在の学校環境衛生基準には放射性物質に関する基準
はない。原発事故は想定していなかったのである。あくまでも安全が確保されている安全
神話に基づいていた訳だ。児童生徒の年間被曝許容量20ミリシーベルトというのは学校環
境衛生基準として決めたのではなく,単に教育委員会などに対し目安として「福島県内の
学校等の校舎,校庭等の利用判断における暫定的考え方」を示しただけである。

ICRPInternationalCommissiononRadiologicalProtection(国際放射線防護委員会)
のこの値は,原発事故が進行中のような時期(緊急時被曝状況)には被曝を減らす対策の
目安を「年間20~100ミリシーベルト」に,事故後の復旧期に被曝が長く続くような場合
(現存被曝状況)は「年間1~20ミリシーベルト」においている。これは安全の基準ではな
く,移住や除染,食品の規制などさまざまな対策をとるうえで,当事国の政府が判断する
ための目安(参考レベル)であるという考えで,しかもその範囲内であっても,合理的に
出来る範囲で被曝を減らす努力を続け,最終的には1ミリシーベルト以下を目指すことが
「不可欠」とされている。「100ミリシーベルト以下の世界,それはミステリーだ」と,
ICRP主委員会メンバー ジャック・ロシヤール氏は述べている(朝日新聞グローブ6月19
日GLOBE)。

一方「ICRPは低線量の影響を過小評価している」と主張しているのがECRREuropean
Committee onRadiation Risk(欧州放射線リスク委員会)である。3月30日ECRRは,
IAEAと日本政府の公式発表データを使って,福島原発事故によって近隣地域で今後発生
すると予想されるがん患者増加数を発表して,今後10年間では100キロ圏内で10万人以上,
100~200キロ圏内で12万人以上 200キロ園内では今後50年間に推定40万人が放射線に
よってがんになると報告している。校庭では表土をはがしたりして除染が試みられている
が,放射能に感受しやすい乳幼児,小児,学童,妊産婦等の汚染は避けなければならな
い。野菜,魚介類等の食物汚染の問題もあり,作家の広瀬隆は学童疎開を呼びかけている
が,学童疎開が可能か,現実は厳しい。
【地域医療再生計画・新地域医療再生計画】
平成21年度第一次補正予算において,都道府県の二次医療圏を対象に事業を行う広島圏
域では救急・高度機能医療,人材確保に重点が当てられ,市民病院を中心とした内科系救
急機能及び県医師会館と合築した高精度放射線治療センター構想は土地取得等県との契約
がなされ順調に進んでいる。残念ながら外科系救急機能についての機能強化は進んでいな
い。
7月6日海田地対協医療福祉専門部会で佐々木県健康福祉局長が「広島県新地域医療再生
計画」について話された。三次医療圏における医療連携体制の構築などの問題解決を図る
ため,ひろしま地域医療連携ネットワークの整備や感染症情報の一元管理(広島版CDC)
の整鳳ドクターヘリの導入など予防から急性期・回復・慢性期まで切れ目のない医療連
携体制の構築(105億円)が計画されている。2010年度補正予算で2,100億円の臨時特例交
付金の分配がこの8月末には内示される。
(平成23年7月)

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