2011年11月菅田巌 会長

9月29日新医師会館の建設地鎮祭を行った。医学・医術の研鐙の場として,看護師・介
護及び事務職員等の研鐙の場として,そして医師会職員のより良い環境の場として,また
地域の住民との交流の場として新医師会館は来年3月完成予定である。安芸地区医師会の
百年史を紐解くと,先達は①医の倫理 ②医学・医術の研錬 ③医権の拡大・医業の安
定・親睦を掲げてきた。この方針を受け継ぎ,地域に根差した医師会館にしたい。
今月,府中町総合防災訓練,安芸区住宅ケア講演会,県医師会ソフトボール大会,第53
回安芸地区学校保健大会,そして一日行楽等,多くの行事が開催された。県医師会ソフト
ボール大会では東広島市医師会チームに決勝戦で,わざ(?)と外したワンバウンドの
ボールをスクイズされて逆転を許し,優勝を逃した。来年に期待する。

【トリアージポスト・トリアージ】
府中町総合防災訓練では,ヘリコプターで患者搬送する大掛かりな訓練であった。畑賀
小学校であった安芸区防災訓練も府中町の総合防災訓練も予め傷病名が判明しているため
比較的容易であるが,トリアージポスト,トリアージと慣れていなければなかなかてきぱ
きと采配できない。実地講習会,講演会等に是非出席して実践に備えていただきたい。
【在宅ケア講演会】
在宅ケア講演会では,広大大学院神野達雄准教授に「芸予地震メカニズムと安芸地区の
災害特性」と題して,広島湾周辺の活断層と地域での災害の特性について講演していただ
いた。講演2では,仙台で年間300名の在宅での看取りを行い,今回被災しながら在宅医療
を行っている岡部医院岡部 健先生に「災害時の在宅医療の現状と問題点」と題して,災
害直後の情報伝達,災害直後の会員及び従業員の安否確認の重要性を講演していただい
た。さらに仲間の看護師が地震直後患者の所に向かい,避難させた直後に津波にのまれ亡
くなるという体験を通して,伝えたいのは自分の安全は自分で守ることであると講演され
た。

【正常性バイアス・愛他行動・同調バイアス】
在宅ケア講演会6日前の10月2日(日)NHKスペシャル「巨大津波 水没した町 人々
はどう動いたのか 生死を分けた心のワナ」では,地震後大津波襲来までの1時間10分を
如何に行動したかを,名取市閑上地区の住民に聞き取り調査をして,普段通り近所と世間
話をして逃げようとしない正常性バイアス,避難を固辞する人までも説得していて時間を
費やし自分の命を落とす愛他行動,皆と同じ行動をとり大丈夫であると高を括る同調バイ
アスの3つの心理的バイアスが,逃げる行動につながらなかったと東京女子大学広瀬弘忠
名誉教授は分析し,そして人間の意識や心理状態を今後の避難訓練や防災教育に生かす必
要があると報告している。

【受診時定額負担】
この6月の会長談話で,菅政権が「社会保障と税の一体改革原案」を集中検討会議で公
表し,閣議決定することを言及し,更にその内容について,
『・自己負担額に上限を設ける「総合合算制度」の導入
(医療や介護,保育の利用者負担を合算)
・高額所得者の年金給付の見直し
・年金支給開始年齢の引き上げ(68~70歳)
・年金受給資格をもらえる加入期間(現在25年以上)の短縮
・社会保障費用に2015年度で新たに必要な財源は約2兆7,000億円
・2015年度までに消費税率を10%に段階的に引き上げる
等,消費税の引き上げとなる根拠を示している。

健康保険・介護保険の見直しの中には,受診時定額負担(1回100円)もあり,また医療
費の窓口負担(70~74歳)を2割に引き上げる等,外来受診の抑制や高齢者医療制度の見
直しがある。日医の中川副会長は「受診の際に定額を負担する制度の導入」や「医療保険
の自己負担割合の見直し」については,「公的医療保険である以上,必要な財源は,広く
公費や保険料に求めるべきである。すでに,日本の患者一部負担割合は,公的医療保険が
ある先進諸国と比べてかなり高い。これ以上患者負担が増加すれば,受診を控え,重篤化
するケースも必ずや生じる」として,反対していく考えを示した』と記した。
7月27日の中医協で「受診時定額負担」について安達委員は「定額負担については,一
部は従来どおり,保険加入者の評定で賄いながら,さらに上乗せをすることについては,
受診者間だけの負担でやる,このような不整合が国民皆保険の基本概念である加入者全体
の共助という概念を大きく突き崩すものであるという点で,きわめて問題が大きい」と述
べている。高額療養費の負担以外の部分を,受診者間だけの「受診時定額負担」で賄うと
なれば,国民骨保険制度が破綻する。今回日医として「受診時定額負担」の反対する署名
運動を行う。是非会員の総力を挙げて取り組んでいただきたい。
(平成23年10月)

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