2010年6月菅田巌 会長

ゴールデンウイークを皆様如何に過ごされましたか,リフレッシュされた事と思いま
す。

昨年4月にメキシコで発生した新型インフルエンザA/HINlは,瞬く間に世界に広が
り,WHOは4月30日には警戒水準をフェーズ5に引き上げ,5月13日のこの時期には30
カ国以上において,5,400例以上の確定例,及び61人の死亡例が報告されており,また欧
州ではメキシコやアメリカなどへの渡航者だけでなく,国内の2次感染が増えハンデミッ
ク寸前であった。
日本では水際作戦が開始され,5月9日成田空港で渡航者の感染が確認された。5月16
日には神戸の高校生8名が新たに新型インフルエンザA/HINlと診断されたが,いずれも
渡航歴がなく,あっという間に学校が集団感染の舞台となった。当地区においては,5月
1日,8日にそれぞれ広島市保健部,海田地域の県西部保健所との緊急協議があり,鳥イ
ンフルエンザウイルスを想定した「新型インフルエンザ対策行動計画」でもって感染予防
対策,行動計画がなされ,保健所に設けた24時間体制の発熱相談センターが電話でトリ
アージして,発熱外来を行っている感染症指定外来のある病院に誘導する体制となった。
6月9日に東広島市で初めて感染者が確認され,発熱相談センター,発熱外来は混乱を
極めた。WHOは6月12日にはハンデミックを宣言している。6月19日には感染拡大防止
から重症化防止に体制を変更し,患者一律の入院措置を中止した。7月からはクラスター
サーベイランスの重視となり,保健所への届出等,また感染予防の徹底,患者発生の早期
探知,拡大防止では院内での患者の動線分離による感染防止対策や診療体制,ワクチン接
種の問題など弱毒制とは言え,感染性が強く,会員の先生方にも色々と対応に苦慮された
と思う。広島県は,10月21日に「インフルエンザ注意報」,11月4日「インフルエンザ警
報」を発令した。

10月の医療従事者から始まった新型インフルエンザの予防接種も12月には小学生,今年
1月19日からは健康成人も希望するすべての人たちに接種され,猛威をふるった新型イン
フルエンザは12月,そして1月には急激に減少し,平成22年の第4過では県内のすべての
保健所管内(7保健所)で定点当り4.37人と減少し,昨年11月4日に発令した「インフル
エンザ警報」は2月4日に解除された。
一方,当初懸念されていた強毒性の鳥インフルエンザA/H5Nlの脅威が消えたわけでは
なく,WHOの報告によると,5月5日現在アジア特にインドネシアでは人への感染が続
き,鳥インフルエンザ死者数は136人,感染者数計165人となり,世界では感染音数498人
のうち,半数以上の294人が死亡したといわれ,季節性や今回の新型インフルエンザA/
HINlと交雑し病原性が増すことが懸念される。

現在厚労省は「新型インフルエンザ対策総括会議」を立ち上げ,広報,水際対策,講習
衛生対策,サーベイランス,医療,ワクチンなどの,疫学データに基づいて対策の検証を
進めている。この秋には第2波を迎えるといわれている新型インフルエンザに対する対策
を,正確に末端まで伝達できるように行政と連携を進めたい。水際対策や機内検疫に対
し,厚生労働省成田空港検疫所の上家和子(かみや・かずこ)所長は,当時の資料などを
分析し「水際ですべてを止めるのは不可能だが,いち早く感染者を見つけ,そのウイルス
から検査キットを作ることができ,国内対策に役立った」と評価している。

押谷仁東北大学教授は「米国では,推計で約1万2千人が死亡したと考えられている。
日本でもこれまでに198人の死亡者が確認されており,この中には子どもや若者たちも含
まれている。被害を決して軽視すべきではない。拡大防止に対し学校用鎖,学級閉鎖や手
洗いの徹底が有効であった。重症化しやすい年齢層に感染が大規模に拡大しなかったこと
が,低い死亡率につながった可能性がある。逆に言えば,より重症化しやすい人が免疫を
持たないまま,残っていることを意味する。このウイルスが数年以内に消滅することは考
えにくく,これからも流行を繰り返しつつ,季節性インフルエンザになっていくと考えら
れる」と述べている。今後も県市町のレベルにおいても検証していただき,特に現場の声
を聞き,現場の裁量を認めることも重要であろう。

【参議院選挙】
5月1日広島県医師連盟執行委員会・地域医政活動推進委員会・各科医会合同会議が開
催され,来る第22回参議院通常選挙候補者の推薦について討議した。広島県地方区では民
主党の柳田稔氏,自由民主党の宮沢洋一氏を推薦決定した。全国区に関しては,前執行部
での機関決定を白紙に戻す事を広島県医師連盟では決定した。
5月11日日医であった日本医師連盟執行委員会では,次期参院比例選に民主党から出馬
予定の医療法人理事長,安藤高夫氏の推薦を決めた。推薦は1人のみとなっていることか
ら,すでに機関決定していた自民党の西島英利参院議員の推薦を撤回し,みんなの党の清
水鴻一郎・前衆院議員とともに「支援」とした。参院比例選で民主党候補を推薦するのは
初めてである。日医連委員長原中勝征・日医会長は記者会見で「政権政党という立場は一
枚上で,優位に立つという判断だった」と安藤氏の推薦理由を説明している。
一方,議会制民主主義の本家イギリスでは労働党は選挙に敗れ,12日保守・自民連立政
権が生まれ保守党のキヤメロン氏が首相となり,労働党と保守党の2大政党から連立政権
となった。日本の連立政権は何時まで保てるのか。夏の参議院選挙までもう直ぐである。
(平成22年5月)

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