2010年5月菅田巌 会長

手は骨に線上にかざせ夜の様

相虎左最長

年々歳々,桜の開花が早くなり,入学式のこの時期までは桜はまだ残っていて欲しいと
思う。
新年度になり,本日の役員・地区代表幹事合同会議にお集まりいただき有難うございま
す。新しく役員・代表幹事になられた先生方,よろしくお願い致します。さる2月21日の
第104回安芸地区医師会定例総会で会長に不肖私が選ばれ身に余る光栄です。新年度にあ
たり,役員・代表幹事の皆様に私を支えてくれる先生方を紹介します。

副会長…白川敏夫・八田和彦
常任理事…片桐則明・楠岡公明・水野正晴・豊田紳敬
理  事…魚谷 啓・檜垣昭光・田辺文理・鹿本雅之・加藤晶子・水口太郎
向井 皇・隅井浩治・五明幸彦・吉川一紀
監  事…田中理伸・大瀬戸隆・津丸周三

変革の2年間,理事の先生方と共に医師会運営に,地域医療に勇往邁進して行きますの
で,皆様のご支援,ご協力を賜りますよう,よろしくお願い致します。

【日本医師会会長選挙】
4月1日日本医師会の会長選が行われ,唐澤辞人目医会長,原中勝征茨城県医師会長,
森 洋一京都府医師会長の三つ巴の戦いとなったが,131票獲得した原中勝征氏が当選し
た。原中新日医会長は「日本医師会を今後どのような団体にしていくか,内部組織をどう
するかを考え直さなければならない」「学術団体としての医師会の位置づけを明確にすべ
きである」「前もって,政府案として出される前に私たちのところに相談に来るような医
師会にならなければいけない。そうすれば,私たちが専門家集団として,自分たちが,本
当に国民のための医療を考えた判断を持って政府に助言が出来るのではないか」「都市・
都道府県・日本医師会という医師会の三層構造それぞれが担う役割の観点から必要であ
り,同時にこの枠を越えて会員一人ひとりの声を反映させていく組織作りが重要だ」と述
べ,更に「国民に開かれた医師会,国民を守る医師会,国民の味方になる医師会を目指
す」と延べ,医師会の変革の必要性を強調した。そして今回の選挙では「キャビネット選
挙」廃止のために,副会長には,中川俊男氏(北海道),横倉義武氏(福岡),羽生田俊氏
(群馬)と,非原中系が占め,ねじれ執行部・呉越同舟といわれているが,吉原忠男・前
埼玉県医師会長は「原中氏は柔な人ではない。周りが敵ばかりでも,必ずいい方向に向
かっていくだろう」と述べている。選挙が終ったらノーサイドで,リーダーシップを発揮
して「開かれた医師会」を目指して頑張っていただきたい。また広島県医師会副会長の高
杉敬久先生が常任理事として当選された。今後のご活躍を期待する。

【診療報酬改定】
4月1日から始まった診療報酬改定では,ネットで0.19%増となり「ネットでプラス」
の改定は10年ぶりである。私が会長になった平成18年はまさに小泉改革で改定率一3.16%,
過去最大級の直下型地震に例えられる大幅な引き下げ率であった。平成14年の-2.7%を
大きく上回り,医療経営に大きく影響を与え,その年の日本医師会役員選挙にも診療報酬
問題は大きく影響し,東京都の唐澤帝人氏が当選し,政権与党自民党とのパイプの繋がり
をよりいっそう深めていくとのことであったが,医療費抑制を図る医療制度改革関連法が
成立した年で,以後医療崩壊に突き進んだ年でもある。

今回民主党政権となり,診療報酬本体は1.41%増,改定率は,医科1.74%増,歯科2.09%
増,調剤0.5%増である。医科については入院医療に重点的に配分し3.03%増,外来医療に
ついては0.31%増にとどまる。再診料や診療科間の配分の見直しを含め,従来以上に大幅
な配分の見直しを行い,救急・産科・小児科・外科の充実等を図られた。
今回診療所の再診料が69点に引き下げられたが「地域医療貢献加算:3点」が新設され
た。患者からの問い合わせに対し,標梼時間以外も対応を行う体制を有している診療所を
評価,目に見えない無形の安心感,信頼感を評価するという趣旨である。少しでも準夜帯
に電話で相談に乗り,複数医療機関の連携等で,常時対応できる体制を構築する必要があ
り,そして地域病院との病診連携そして診診連携に取り組んで行くことが大切である。ま
た「明細書発行体制等加算:1点」も新設されており,これらは,4月から算定しようと
すれば中四国厚生局への届出が4月14日までに必要である。今回の日医会長選挙でも問題
となったのは,医科,薬剤に比べて歯科のプラス2.09%という診療報酬改定率である。歯
科医師会は民主党政権となって早々と7月の参議院選挙には立候補を見送っている。政権
与党にものが言えるということが,選挙にも,また診療報酬にも微妙に反映してくると思
われる。

【iPS細胞と救世主兄弟】
第9回日本再生医療学会総会が広島で開催され,3月19日山中伸弥京大教授の
SYINYANAKAYAMAレクチャー「iPS細胞の可能性と課題」があり聴講した。会場は
立見席が出るほど盛況であった。iPS細胞の腫瘍形成について述べ,新しい研究棟も壁を
取り払い,上下の階にも自由に行き来できる施設で,5年以内に臨床応用を完成させると
講演された。再生医療と生殖先端医療に関して3月28日のNHKスペシャルでは,ダイヤ
モンド・ブラックフアン貧血という難病にかかった長女の命を救うため,体外受精で受精
卵を複数作り,姉と遺伝子が適合するものを選びだし妊娠・出産するという方法で弟が生
まれ,その弟からの骨髄液の移植で姉を助けるというドキュメンタリーが放映された。一
つの命を救うために遺伝子が選ばれて生まれた子供のことを救世主兄弟という。イギリス
では法律で血液の病気に限定している。アメリカを中心に200人以上が生まれているがア
メリカでは規制もなく,臓器(腎臓や肝臓など)までも,となる惧れがある。iPS細胞の
臓器等への応用が待たれる。

地域では4月から学校健診・原爆健診も始まったが,昨年度に続いて特定健診・特定保
健指導も始まる。地域医療と健康づくりでは行政との連携は欠かせない。各ブロックの医
師会での取り組みに期待している。               (平成22年4月)

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