2010年3月菅田巌 会長

梅の花が咲き,少しずつ春が近づいています。冬季オリンピックが始まり開会式は印象
的でしたが,雪不足が心配です。第104回の安芸地区医師会総会には是非皆様ご出席くだ
さい。

【平成22年度診療報酬改定】
2月12日の中医協総会において,平成22年度の診療報酬改定の主要改定項目案が示され
承認され,長妻昭厚生労働相に答申した。

今回の診療報酬改定のポイントは,
①救急医療,外科,産科,小児科の評価の充実
(彰病院勤務医の事務負担軽減
③病院・診療所の再診料を69点に統一
④医療内容のわかる「診療明細書」の無料発行
⑤入院患者を受け入れる有床診療所の評価・充実
である。

昨年末に決まった病院と診療所の「再診料」の統一は69点に決定し,診療所は2点マイ
ナス,病院は9点プラスとなった。そして前回改定で導入された「外来管理加算」の「5
分間ルール」は撤廃された。詳細な問診抜きで従来と同じ薬を処方するいわゆる「お薬受
診」は加算の対象外である。

今回「地域医療貢献加算:3点」が新設され,患者からの電話問い合わせに対し,標模
時間以外も対応を行う体制を有している診療所を評価,目に見えない無形の安心感,信頼
感を評価するという趣旨で,算定要件は今後通知やQ&Aで示す事になっている。そして
「明細書発行体制等加算:1点」も新設された。従来の初診料の電子化加算は廃止された。
今回「再診料」69点と「外来管理加算」52点と新設の「地域医療貢献加算」3点および
「明細書発行体制等加算」1点を加えると125点となり,改定前の再診料71点と外来管理加
算52点の合計123点より2点増加となる。今回2月8日中医協総会で安達秀樹中医協委員
(京都府医師会副会長)は「再診料の引き下げは医療崩壊を診療所まで広げるということ,
……強い抗議の意思を持って退席する」と述べ,鈴木邦彦中医協委員(茨城県医師会理
事)とともに退席している。安達委員の今回の奮闘,そして嘉山孝正委員(山形大学医学
部長)を初めとする二号診療側の委員の側方支援を讃えたい。

また有床診療所入院基本料は,入院期間に基づいて各3分類の点数を設定し,今まで最
も低い280点が今回340点となり,更に有床診の一般病床の後方病床機能を評価するため
「有床診療所一般病床初期加算」を新設し,100点で7日まで算定できる。同様に病院と有
床診の療養病床を評価する「救急・在宅等支援療養病床初期加算」は150点で,14日まで
算定できる。柳田稔参議院厚生労働委員長が県の有床診総会懇親会で「300点プラス100円
玉が2~3個になるかどうか,期待して良い」と述べていたのが印象的であった。

【新型インフルエンザ】
広島県は県内のすべての保健所管内(7保健所)で定点あたり10人以下となり,県内全
体で定点当り4.37人(定点115医療機関からの報告数503人)と減少し・平成21年11月4日
に発令した「インフルエンザ警報」を2月4日に解除した。広島市衛生研究所の検査結果
では,今シーズン(9月以降)は患者から検出されたインフルエンザウイルスはすべて新
型インフルエンザとなっており,季節性インフルエンザ(Aソ連型,A香港型,B型)は
検出されていない。
10月から始まった新型インフルエンザの予防接種も12月には小学生,1月19日からは健
康成人も希望するすべての人たちに現在接種されており,季節型インフルエンザに取って
代わった新型インフルエンザ患者数は1月31日2000万人を突破した。
日本ではワクチン禍が社会問題になるたびに国家が責任を負う「法定接種」から国民の
自己責任に委ねる「任意接種」に扱いを変えてきた。これは免責・無過失補償制度を充実
させてきた海外とは対照的である。

厚生労働省は昨年末に「予防接種部会」を復活させ,2ケ月で4回開いて予防接種政策
について議論している。重篤な感染症が新たに生じ,蔓延しそうな場合,国民に努力義務
を課して公的に予防接種を行うのが「臨時接種」といわれ・新型インフルエンザは病原性
や致死率がそれほど高くないとされ,今回ワクチン導入時に「臨時接種」として扱うこと
は見送られ混乱が生じた。その教訓から,病原性が高くなくとも感染力が強い場合も「臨
時接種」として扱うように,今,新たな枠組みつくりが議論されていると国立感染症研究
所情報センター長岡部伸彦氏は産経ニュース「感染症と人の戦い」で書いている。
この少子化の時代,諸外国のように集団かつ国の負担で希望者に行えるようにすべきだ
と思う。

3月2日には平成21年度新型インフルエンザ(H5Nl)の実地研修会が開催される。是
非ご参加いただきたい。              (平成22年2月)

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