2010年12月菅田巌 会長

二十四節気の一つ立冬も過ぎ,急に寒くなりインフルエンザが流行ってきた。北海道や
沖縄では例年より早く流行っており,秋田県では入院患者の集団発生で死者も出ている。
入院患者は全員予防注射をしていたと報じられている。
10月中旬,廿日市市の幼児のインフルエンザ感染では,昨年流行った新型インフルエン
ザウイルスではなく,従来の季節型の香港A型と報じられた。早期の予防接種が望まれ
る。

【防災訓練】
10月31日,第16回の安芸区防災訓練が船越小学校で開催され出席した。
当日は生憎の雨で,安芸灘を震源とする強い地震を想定した訓練で,傘をさしながら各
地域の近隣避難場所から小学校までの避難から始まった。屋外での水防訓練(土嚢訓練)
は中止になったが,体育館での避難所生活の体験をする「生活避難場所運営マニュアルの
検証訓練」が行われた。
今回の防災訓練では,平成7年1月17日に発生した阪神・淡路大震災の教訓に基づき,
ライフラインの水道,電気,ガスも断たれ,避難者の問い合わせ,どこに避難しているか
分からない状態や場所の確保,食料,物資の配布等を混乱状態の中で,町内会長を中心に
行政と一緒に,如何にルール作りをしていくかを検証した。安芸地区医師会から魚谷先生
が参加し,安芸消防署救急隊とともに傷病者のトリアージが行われた。体育館のステージ
から観させて頂いたが,300名以上の子どもや住民の方が参加され,手話つきの説明もあ
り,皆さん真剣に取り組んでおられた。大規模災害は自助,共助,公助が大切である。
そして医師会のドクター用の救急ジャケットは,もう少し頑丈で医師会をアピールでき
るようなものがあればと感じた。

【国民の健康と医療制度を考える】
11月7日東京で開催されたシンポジウム「国民の健康と医療制度を考える」に出席し,
慶応大学商学部 権丈善一教授の「整形外科を取り巻く社会保障の政策環境」の講演を聞
いた。まず国の財政再建が必要で,社会保障は高負担・中福祉か中負担・低福祉しか選択
肢がないのが現状で,消費税を含めて国民への負担を主張すべきであると述べられた。

午後から日医の原中勝征会長が「整形外科における日本の医療のあり方」と題して講演
された。どちらも整形外科という題が付いているが,主に日本の社会保障と医療について
の講演であった。原中会長は1時間に亘り,1・国民骨保険を堅持するための雇用環境の
是正 2・超高齢社会を見据えた社会保障全体の長期ビジョンの提示 3.医療費の引き
上げと患者一部負担割合の引き下げ 4・2010年度診療報酬改定を振り返る 5.医師・
看護師不足および偏在の解消 6・医療費抑制策の解消へ 7.市場原理主義の医療への
参入阻止について,身近な例を引き合いに皆保険制度の堅持について講演された。

11月9日の日医FAXニュースには,原中会長は消費税について「国民負担を多くしな
ければサービスが少なくなることについて,日医から説明しなくてはならない。社会保障
の充実には一定の負担が伴うことを国民に説明する必要がある。その上で,患者の窓口負
担の軽減は不可欠。受診機会を増やして初期医療の充実を図る必要がある」と述べてい
る。
県医師会の代議員会で・懸案であった県医師会館の移転が諮られる。県医師会館の移転
を機に,県医師会の更なる発展を願いたい。横浜で開催されているアジア太平洋経済協力
会議(APEC)における環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)について,菅首相は「平成
の開国」と述べている。困難を伴うのはいつの時代も同じである。
(平成22年11月)

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