2010年10月菅田巌 会長

 

台風一過,朝夕,めっきり涼しくなり過ごし易くなってきた。
今回の台風12号による豪雨の被害があれば県医師会に届け出ていただきたい。奈良・和
歌山の集中豪雨,改めて自然災害の怖さを思い知らされた。

【東日本震災後6ケ月】
東日本大震災から6ケ月が経とうとしている。8月26日「放射性物質汚染対処特別措置
法」が議員立法で成立し,来年1月1日より施行される。環境中に放出された放射性物質の
汚染処理については今まで定めがなく,放射能汚染に総合的に対処する初めての法律が成
立した。環境相は,国が除染などをする必要がある地域を「特別地域」とし,除染計画を
作り,汚染された土壌などの除染を実施する。廃棄物の処理についても環境相が「対策地
域」を指定して処理計画を策定して,地域内の廃棄物の収集や運搬,保管,処分について
国が責任を負う。除染や瓦礫の処理費用は,東電などが負担。国は必要な財政措置を講じ
る,となっている。

【セシウム137は広島原爆の168個分】
8月26日の原子力安全・保安院の報告では,今回のセシウム137の放出量は広島原爆の
168個分に相当すると発表した。そして8月29日文科省には福島第一原発から半径100キロ
圏内の汚染の実態を発表した。福島第一原発周辺30キロ圏内の大熊町ではセシウム137
(半減期33年)が1平方メートル当たり1,545万ベクレル,浪江町,双葉町などの市町村で
も148万ベクレルを超えている。148万ベクレルはチェルノブイリでは妊婦や子どもの強制
避難の対象になっている危険な数値である。日大生物資源科学部の小津祥司講師は「除染
しないと最低200年は住めない。除染するにも作業に20~30年がかかり,それまでは住め
ない。費用は処分場の建設費,土砂の運搬費などで10兆円を超える」と言っている。放射
能を閉じ込める懸命な作業が続けられているが,除染活動の活発化が急がれる。

【絶対安全】
「セシウム汚染肉の拡大では,飼料まで含めたトレーサビリティがあれば,更に不安は
最小限に抑えられただろう。結局,食肉の問題に限らず,絶対安全というシステムはな
い。チェックポイントを複数もうけて問題を防ごう,もし問題が起こっても最小限にしよ
ぅ,と言うのが最近の考え方で,特に力を入れて訴えたい事だ」と東大坂村建教授は産経
新聞に述べて,・“絶対安全”の幻想に依存する危険性に警鐘を鳴らしている。

【野田新政権と小宮山厚労大臣】
2009年の衆議院選挙で政権交代を果たした民主党は2年間で鳩山,管そして野田佳彦首
相と3人目となった○世論調査では日経新聞とテレビ東京で,野田内閣の支持率67%,民
主党の支持率も36%,復興増税賛成63%だった。朝日新聞ではそれぞれ53%,31%,
57%,中国新聞など共同通信では62.8%,27.2%,58.7%であった。新政権は期待感を持っ
て受け入れられており,マニフェストのばら撒き政策を見直し,震災復興,エネルギー政
策,社会保障と税の一体改革,財政赤字や円高対策など実行力を持って決断してほしい。
小宮山厚労大臣は,記者会見で東日本大震災に伴う被害者の生活や医療などの支援,社
会保障と税一体改革,雇用問題を挙げている。そして医療には問題が多いと認識し,社会
保障と税の一体改革をどう具体化していくかが課題と述べ,個別課題として,医師の診療
科・地域別の偏在,ドラッグ・ラグやデバイス・ラグ,ライフ・イノベーションなどを挙
げている。社会保障と税の一体改革で問題となった,受診時定額負担制度の導入や医療保
険の自己負担割合の見直しについては,公的医療保険である以上,必要な財源は,広く公
費や保険料に求めるべきである。元NHK論説委員で,医療・介護は得意分野でなく,更
に政務三役にも今回医師が入っていないので心許ないが,2012年の医療・介護同時改定で
は頑張っていただきたい。

10月から本格的な新医師会館の建設が始まる。学術講演会等,皆さまにご迷惑をお掛け
すると思うが,宜しくお願いしたい。
(平成23年9月)

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